大まかな四章~エピローグ
別の父親との間に生まれた子供であり、血の繋がらない父はアリアをゴミだと認識した。今の父親からの愛がなくなるのを恐れ、母親はアリアを厄介者と認識した。
五歳の頃までナイフで切り刻まれたり煙草の火を押し付けられていた。見える場所は傷つけられていない。
4-1・4-4参照
右胸にはイノリを庇った時の大怪我が傷として残っている。
4-6参照
「こんな体なので肌は出せません」
「いいんですよ。昔からブスだといじめられてきたんで」1-9より
子供時代、孤児院でアリアの傷を見た子供達は、「ブス!」「きもちわるい!」とアリアをいじめた。同じ歳の少女シェリーだけは、アリアを庇い、成長してもずっとアリアに寄り添った。
しかしそれは後に、無償の愛ではなかったのだなとアリアは理解する。
どこまでが仕組まれていたことなのか‥‥
それでもシェリーはアリアにとって、大切な人だった。
「彼女との思い出は、美しいままにしておこう」
イノリはアリアにとって、本当の意味で初めての友達になった。惜しみ無く友愛をくれる年下の少女。出会った時に救われ、彼女に恩を返し、帰って来ない彼女の父親レンジロウをぶん殴ってやろうと決めた。イノリを泣かせる奴は許さない。
また、恋をまだ知らないイノリの理想のタイプは「アリアみたいな人」らしい。
「イノリさんは可愛いなぁ。私が男だったら付き合ってますね」
買い取った豪邸の部屋を一つリダにあげたはいいが、彼は相変わらず自由に外の世界で生きている。しかし、帰って来る度にアリアに物を買って来た。最初、スノードロップの花を貰った時に喜んだのがいけなかったのだろう。思い返せば、初めての贈り物はドラゴンの血だ。自分に何かをくれたのは彼が初めてだった。見返りを求めない無償の愛。
「無償の愛‥‥シェリーがくれていたとばかり思ってたのになぁ」
後に迎えたアリアの誕生日の日には、予想外の物を持ってきたんだとか‥‥
さすがに婚約指輪とやらをそのまま薬指につけることは出来ず、ペンダントにした。ルヴィリがリダに好意を抱いていることをアリアは勘づいているので視線が痛いのもある。そもそも未だにあれがプロポーズなのかすらわからないので、ただたまに一緒に居るだけの日々だ。お互いに親から愛情を貰えなかったので、愛というものがいまいちわからない。しかし、相変わらずのリダからの愛しているの安売りとセクハラと馬鹿さ加減に頭を悩ませてはウェザに相談している。
その度にウェザが乗り込んで来て、リダに嫌味を撒き散らしてくれた。
「やれやれ。絶対、ウェザさんかルヴィリさんとお似合いだと思うんですがねぇ‥‥」
まだ明らかになっていないこと。
苛められるアリア。それを救う優しい少女。それはどのような意味を持つのか。
アリアの通っていた病院はおばあさん先生の紹介。まともな検査はされなかった。
体が弱っていた原因は、本当に虐待だけなのか?
また、おばあさん先生がアリアを生かそうとした嘘は、あまりにおかしな嘘過ぎた。
英雄!世界の血を持つ人とabnormal世界の血を持つ人が生きる英死の世界。
だからこそ、全うに生きる人と歪んで生きる人が入り交じっている。